
車が一台やっと通るような狭い路地に「河井寛次郎記念館」はあります。
表向きは京らしい町屋といった感じなのですが格子戸をくぐると・・

飛騨高山の合掌作りの家をイメージしたというお家が
記念館として公開されています。
この家は寛次郎自らが設計しました。
寛次郎の父は大工の棟梁だったそうです。

寛次郎はとても気さくな人柄で常に来客が絶えなかったとか。
柳宗悦や濱田庄司もよくここを訪れ「美」について語り合ったといいます。

何気に置かれた家具にもあたたかさと安らぎを感じますよね。
寛次郎の人柄が染みこんでいるようです。

家具、調度品もほとんど自分でデザイン、もしくは自分の目で選んだもの。
家の隅々まで寛次郎の美意識が反映されています。


真鍮の行燈。切り絵のように美しいですね。
どんな灯りが浮かぶのでしょう。夜を待って見てみたいな。

この狛犬はここの建物が新築された際、
古い家具の柱を利用し寛次郎が自ら彫ったもの。
中をくり抜き好物の飴や干し柿を入れていたそうです。
物を大切にする寛次郎の姿が伺えますね。

長い渡り廊下脇には書や寛次郎の愛用品が展示されています。
中庭から抜ける風が気持ちいい。

静かに置かれた寛次郎愛用のメガネ。
細部に施された鼈甲細工がすばらしいですね。
年期が入ったメガネ、何か語りかけてくるようです。

マッチ箱ケースにもこんなに繊細な彫りが。見事ですね。

各所の竹製家具は戦時中の木材不足を補うため
自らデザインし台湾の職人に作らせたものだそうです。
竹の特性を生かし、お洒落なデザイン。

カフェにあるようなかわいい手洗い。
白のタイルと古い蛇口がいいですね。
こういうのたまらなく好き。

どの部屋の窓も開放されていて
緑と光がやさしく迎えてくれます。

敷地内には実際に作陶に使われた窯や陶房を
見ることができます。これは「いったんもめん」が
腰掛けて休んでいるのではなくて素焼き窯ですよ。

右手に見える場所で釉掛や絵付けを主にしたそうです。

先ほどの素焼き窯の中。
「体内」といいたくなるような、生命力を感じる窯ですよね。

思わずはっと息をのむ迫力!
奥へ奥へと続く登り窯。
こんな間近で登り窯を見たのは初めてです。

登り窯のひとつひとつを覗いてみました。
中は意外と広いです。不思議な空間でしたね。
もうね、ひとつの生命体と言ってもいいくらい。

なにかを生み出すものには、
神々しさを感じるものなのですね。

寛次郎はこの椅子に腰掛け何を思ったのでしょう。
「驚いている自分に驚いている自分」
寛次郎はその生涯を通じいつも子供のように感動する
心を失わず、人と人生を何よりも愛する人でした。

陶房の中。
丸テーブルの上に置かれたタイルのようなものは
実験的に焼かれた陶板です。陶板を見ながら作品の出来を
あれこれ思ったのでしょうね。

この椅子の背もたれをよく見てください。
鳥居の形にデザインされているんですよ。

どっしりずっしりとしたテーブルは
なんと古い臼をひっくり返したもの。
この椅子も寛次郎デザイン。私は土偶に見えるんだけど。

館内の物のほとんどが自由に触ったり、
こうして椅子に座ってくつろぐこともできるんです。
“日常で使われるからこそ美しい「用の美」”
初めて訪れた寛次郎記念館でそれを十二分に体感することができました。
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